僕らのミクロな終末 上下:あらすじ
「世界が終わるまで、あと10日――。」
稀代のストーリーテラー・丸木戸マキが紡ぐ、異色の終末 × 恋愛ヒューマンドラマ!あと10日で、巨大隕石が地球に落下する。
限界人生を送る社畜サラリーマンの真澄は、せめて残された時間を穏やかに過ごしたいと母校の大学図書館を訪れる。
そこで10年ぶりに偶然再会した男・律は、かつて真澄を裏切り傷つけ、いまの底辺生活の元凶となった
「この世で一番会いたくない昔の男」だった…。
律はそんな真澄に、楽に死ねる薬を渡す代わりに死体処理を手伝ってほしいと、とんでもない話を持ちかけてくるが――?
カップリング
攻 | クズ |
受 | 黒髪、平凡、ゲイ |
丸木戸先生の描く迫真顔!
絶妙な笑えるポイントがいい!
律とまぁたその恋バナ可愛い
ネタバレ感想
ついに読んでしまいました。
発売当初に購入したものの、このご時世に終末物を読むのが怖くてずっと温めていた作品です。
読もうと思うきっかけとなったのは、星新一の不思議な不思議な短編ドラマを見て、SFいいなと思ったという単純な理由ですw
でも逆に今だからこそ読むのもありなのかなと。
この作品は2020年の2月から連載が始まったそうで、リアタイで追ってた人達はどんな気持ちで読んでいたのでしょうか。
とにかく世界が終わってしまう話という知識しか無かったので、話が進むにつれてそういう話!?と思ったり、でもそれが後から重要な関わりを持っていたり、案外絶望していなかったり、希望に繋がったり。
それからやっぱり自分だったら世界が終わる時どうするかなと考えたりしながら読み進められて面白かったです。
回想を挟みながらの話の進み方もちょうどいい塩梅でどんどん物語に引き込まれました。
上下2冊を通して世界の終わりまでの10日間が描かれています。
上巻は受けの真澄から見た、攻めの律との美しかったはずなのにそうならなかったキツい思い出話があり、下巻では真澄を大切にできなかった律の話が描かれています。
この律、とんだクズっぷりで割と最後まで好きになれなかった\(^o^)/笑
イケメンで頭もそれから声までもいいときた…!そこで性格はクズという、色んな意味でにくい!と思う存在です( ˇωˇ )
下巻で律がどんな家庭環境にいて真澄や他の人との付き合いにどう思っていたのかがわかりますが、でもやっぱり真澄の事を思うと律の都合なんて知らんがな!と思ってしまう。笑
性格はあんまり好きになれなかったけど、
上巻で真澄から見えていた律と、下巻で律のことを知ってから見る律は全然違って見えるのがまた面白くて、2週目を読むとだいぶ印象が変わります。
悩んでいる律は人間らしくて良いなとは思います。
律と真澄
真澄の人生最大の大恋愛だったのでは?と思うくらい律への溺れっぷりが辛かった…。
個人的にサークルクラッシャー系地雷なんですが(笑)ボロボロになっていく真澄がリアルで律酷い!の気持ちがムクムクと(´-`)
よりによって相手が律なのが良くなかった。でも相手が律だったからこそそうなったんだろうなと思います。
しかし実はお互い相手に対して悪いなと思っていて、真澄だって律を使って優越感に浸るという下心を抱いていたというのがなんか良かったです。
ちゃんとそこを認めて、良くないことだと思っている真澄が良かった。
出会いの図書館のシーンの、律を見た瞬間の猫がビックリして逆毛を立てて飛び上がってるような顔した真澄が好きですw
この出会いも偶然かと思いきや、最後の最後に実は律が昔の会話を覚えていて〜っていう流れで、律から真澄に出会いに行っていたのがすごく良かった。
それを知ってから最初から読むと律の必死さがたまらんのです(((^-^)))
必死というか、助けを乞うというか、最後の望みというか…。
律は死にたくて最期に会いたい人か真澄だったんですよね。
なら浮気すな!真澄を悲しませなきゃ良かったじゃん!と思うけど、それが難しかった律は少し寂しいですね…( ˇωˇ )
それから、下巻でお先にと楽に死ねる薬を一人で飲んで死のうとする律と怒る真澄のシーンがめちゃくちゃ印象的でした。
真澄のセリフが全部刺さる(´ ` )確かに無責任な律だけど、自分で手一杯なくらい実はメンタルやられてたんだろうなと…。
そんな律に必死の真澄もたまらんかった。
泣かないでよっていうセリフに若干のクズみを感じつつも、翌朝の寝不足律のどんより感が面白くてw
丸木戸先生のどよ〜ん感とかたはは…って感じの哀愁漂う笑いが絶妙で大好き\(^o^)/
世界が終わるからわだかまりも解けた2人ですが、もしまだ人生が続くことになったらこの2人はどうなるんだろう。
律はまた浮気に繰り出すのかな。そしたら今度こそ真澄は律のことを見捨てるだろうな…。
それとも一度終わると思った人生、心機一転新たにうまくやって行けるのかな。
遊馬の存在
この作品の希望的存在でした。
遊馬が律と真澄の間にいてくれて良かったよー。
若さゆえなのか根っからなのか、遊馬の無邪気さ純粋さに読んでいてもすごく助けられた(;▽;)
めぐるのことを男だとわからないままだったのも不憫で、ある意味幸せ者で可愛かった(◜ᴗ◝ )
めぐるから姉ちゃんで抜いたことある童貞の目って言われてるのめっちゃ笑いましたw
遊馬に関わる不思議現象は途中まではもしかして?程度だったものが、最後の最後マンションの上から落ちてきた酒瓶がふわふわ浮いたのはもう遊馬が只者じゃないんだなと。笑
でもそれを目撃した律と真澄は、世界が終わるという中、自転車での長距離移動で極限の状態で通り集団幻覚の可能性も否定できない…!笑
そもそも遊馬は死体として処理されるはずだったわけで、一度息も止まってて、でも気付いたら生き返っていたわけで。
だからやっぱり遊馬はミラクルボーイなんだ(((^-^)))
物語全体を通して
僕らのミクロな終末というタイトルがぴったりすぎてたまらん!
まさに僕らのミクロな終末。世界が滅びだって何が起きたってまずは自分があってこそ。
結局は世界が滅びるまで、世界と比べれば小さな小さな自分の身の回りをこなすしかないのです。
そんな中での律と真澄の再会がドラマチックに?描かれていることがエモい…!
また表紙も読後見ると更に良いし好きになりました。
紙本買って隣同士並べて鑑賞したい……。
全部読んでから、結末はどっちだ!?と思いつつも、この表紙がもしかしたら答えなのかもしれないなと思ったり。
結局隕石は落ちてきたのか?
正直最初に読み終わった時はえ〜〜っ!どっちなのよ!?と思いました。
でも2週目を読んで、就寝前布団の中でずっとミクロな終末のことを考えちゃうんですよ。
エピローグに描かれていたように、遊馬が本当のめぐるを知る世界があるのかもしれない。
(後書きの結局BLになる世界の表記に笑ったw)
表紙のようにどこかの地で律と真澄は2人でいるかもしれない。(表紙の二人の表情がなんだか意味深に見える…)
ホテルで大金を稼いだおじさんが一人勝ちしているかもしれない。
はたまた予定時刻は過ぎたけど隕石はやっぱり落ちてきたのかもしれない。
いや、最後の文章からも隕石が落ちようが落ちまいが、その時を起点に二人の関係が始まっていくんだ…!等々……
色々な可能性を残したこの終わり方、読了後みんなで話すしかないじゃん!
映画を見終わったあとみたいに、あれやこれやと話すしかないじゃん!……楽しい!
というテンションになりました。笑
遊馬の存在、真澄の見た夢、隕石落下到達時刻を過ぎて見た朝焼け
私はこれを希望と捉えて、きっと隕石は落ちてこなかったんだと思うことにしました( ˇωˇ )
でもやっぱり時間がズレて、それが例え数分
数時間の誤差じゃなくて何年、何十年の単位でズレて落ちてきたり……なんてこともちょっと思ったり。(そんなにズレることがあるのか?)
落下予定時刻を過ぎて終わるのがこの後の可能性を増やして面白いなとしみじみ思いました。
まとめ
シリアスな内容ではありますが、丸木戸先生特有の笑える描写(迫真顔大好き!)もあり、ご時世柄笑えるはずが笑えない箇所もあったりと、色々と感情の動く作品でした。
どの作品にも言えることではありますが、この作品は特に読む時の心の体調でも楽しめ方が変わるのかなと思います。
萌えは少ないですが、ちゃんとBLはしています!二人の関係性がリアルで割と好きです。
濃い内容を読みたい方にオススメしたい!
読んだらあーだこーだ語らいたい!!!!!
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